人郷離れた40名程度のアンドロイド人間が住む村。 かつて村人たちによる絶対的な統制という名の集団心理によって、処刑台にまで追い詰められた一人の少年がいた。 村人達の集団心理は絶対的と言えども、元々彼らは何かに特別な関心があるわけでもなく、ただ目的も理由もなく生きていた。 彼らはあくまで形式こそが本質であると捉えていた。 そんな彼らに一人の少年を確実に葬り去る術や拘りなどあろうはずもなかった。なにせ関心がないからだ。 生き残った少年が村をどれだけ歩いて見せても、村人たちは処刑という形式を終えた事で、誰も少年に感心を示さなかった。 彼らの個性は既に排除されていた。関心を示さないのは当然だ。 この村でただひとり、個性を持ち続けてしまった少年は何を思うのだろう。 集団心理とは、無個性なものたちによって非常に都合良く創られた独裁思想と言えるだろう。 悲しい事に彼らはそこに、まるで気が付いていない。気が付こうとしない。 悪とは常に集団心理によって生み出されるものだ。