Think That...
2014年10月に、PIZZA OF DEATHがレーベルとして初めてマネジメント契約をし、1stミニアルバム『Can Not Behaved!!』をリリースしたWANIMA。 これまでも、ライヴを見た約3割ものキッズがデモを購入していくなど、ライヴハウスで話題を呼んでいた存在ではあったが、1stミニ アルバムを機に、その名と音は急速に広まり始めた。 リリースツアーはソールドアウトが続出。大型フェスからも引っ張りだこ。彼らの魅力に気付いた大人たちや、ライヴハウスに通えていなかった音楽好きも巻き込んで、オーヴァーグラウンドへ飛び出した。 そんなWANIMA旋風が吹き荒れる中、いよいよニューシングルがリリースされる。全4曲収録。『終わりのはじまり』と『HOPE』は、デモ やオムニバスからの再録だが、このタイミングでさらに広まるべき輝きに溢れている。コンパクトな中に、彼らの全方位が収められた、 畳み掛けるには絶好の一枚だ。キラキラしたギターと全開のコーラスで幕を開ける『終わりのはじまり』。 《誰かを責めた揺らいだ回り道 始まりか終わりか決めるのは君だ》という強い歌詞は、今だからこそ説得力を持って響く。 続く『いいから』では、ガラッと雰囲気が変わる。踊れるビートにのっているのは、昨今珍しいほどに濃厚で汗臭いエロティックな歌詞だ。そして、『HOPE』ではルーツのレゲエでユラユラ踊らせた後に、グッと青臭く疾走していく展開が痛快。 《もう大変で大変で大変で大変に耐えれんで仕方ないので/とりあえず笑えたのなら/どれだけ楽になるだろう》という連呼は、誰もが吐き出したい心の叫びであり、共感を得て広がっていくに違いない。最後は、丁寧に紡がれた歌詞が印象的な『TRACE』を、ガッツリ聴かせて締め括る。メロディアスなリフから懐かしい匂いがぷんぷんする、彼らの土壌が表れた仕上がりだ。 様々な感情や欲望を呼び覚ます、ヴァラエティに富んだ収録曲。しかし、その中で共通点がひとつだけある。それは、熱いこと。 ライヴが熱い、というだけではなく、詞曲が熱い、というのは、若手の中では貴重だと思う。 もちろん、フレッシュな勢いや柔軟なミクスチャー感覚などに、若手らしさは表れている。それに加えて温度が高いからこそ、伝染が早い上に幅広い人に受け入れられるのではないだろうか。人間の根本にある色情や郷愁、そして音楽を聴く時に欲している、背中を押してくれるようなメッセージ。WANIMAの楽曲には、それらが備わっている。メロディに生き様が溢れてしまうほどに、故郷の熊本から決意を持って上京してきた松本健太(Vo&B)、その想いに寄り添ってきた、幼馴染の西田光真(G)、後から仲間として加わった藤原弘樹(Dr)……この3人が生み出す、3ピースらしいシンプルなアンサンブルから繰り出される人間臭い物語に、ますます惹き付けられて止まない。